「怒りを道具」にしてしまった私へ。アドラー心理学で知る、子育ての自己嫌悪からの脱出法

「怒りを道具」にしてしまった私へ。アドラー心理学で知る、子育ての自己嫌悪からの脱出法 子どもとの関わり

子どもとの関り|私は「楽な手段」としての怒りを選んだ

インフルエンザで家族全員が自宅待機となっていたある日、私は大きな失敗をしました。

兄と弟が、無邪気に背中に乗って遊んでいる。
その光景を見た私は、弟の骨折や、兄の後悔という最悪の未来を深く心配しました。

その深い心配は、あっという間に腹の底からわき上がる怒りへと姿を変えました。

そして私は、とても冷たい声で「危ない遊びはしないで」と兄に命令し、遊びを中断させました。

兄の悲しい顔、弟の戸惑う表情。
その後、私を襲ったのは、子どもたちの感情を踏みにじったことへの深い自己嫌悪でした。

私は、自分の本心である「自分の心配を素早く解消したい」という目的を達成するために、「楽に、速やかに子どもをコントロールできる」という安易な手段、すなわち「怒り」という名の道具を選んでしまったのです。


「感情」は原因ではなく「目的」を達成するための道具

私が自己嫌悪に陥ったのは、「心配(原因)」があるのに「怒り(結果)」という不適切な感情を出してしまった、という考えがあったからです。

しかし、アドラー心理学の目的論は、この考えを根底から覆します。

アドラー心理学では、「感情」は自然に湧き上がるものではなく、全ては「目的」を達成するために自分で創り出し、使用する道具(手段)であると説きます。

今回の出来事に当てはめると、こうなります。

要素アドラー心理学的な位置づけ私が使った道具と目的
最終目的(ゴール)達成したい未来の状態「子どもたちの安全を確保する」
道具(手段)目的達成のために選んだ感情「怒り」
本心(動機)目的を設定させた源泉「深い心配と愛情」

私の「怒り」は、子どもたちの安全を即座に、力ずくで確保するという目的を達成するための、最も手っ取り早い道具だったのです。

「怒り」という道具の代償|子どもとの関係悪化・自己嫌悪

この「怒り」という道具は、対人関係において最も安易で、最も強力に相手を屈服させる力を持っています。
しかし、同時に大きな代償を伴います。

怒りは、親子の関係をタテの関係(命令する側と服従する側)に変質させます。

子どもたちの「二人で楽しく遊びたい」という善のエネルギーを否定し、彼らの勇気を奪ってしまいました。
そして、この道具を使った私が陥るのが「自己嫌悪」です。

一見、自己嫌悪は反省している証拠のように思えますが、アドラー心理学は、これもまた目的を持つと指摘します。それは、「これ以上、新しい方法を学んで行動するという面倒で勇気のいる課題から逃れる」ことです。

アドラー心理学では、自己嫌悪は「ダメな自分の証拠」ではなく、
“これ以上傷つかないように自分を守るための、心が選んだ一時避難所”だと考えます。
だから、そのように感じること自体を責める必要はないんですよ。
ただ、そのまま止まっていると、新しい行動に踏み出せなくなるだけなのです。

「私はダメな親だから仕方ない」と結論づけることで、「怒鳴らない新しい対応を学ぶ」という挑戦を回避し、一時的に自分を慰めていたのかもしれないと気づきました。

自己嫌悪を「勇気」に変えるために

重要なのは、過去の失敗ではなく、これから何を学ぶかです。

私の「深い心配」は、子どもたちへの愛情から生まれたかけがえのないものだと思っています。
変えるべきは、この愛情を表現し、目的を達成するための手段だと思いました。

「怒り」という道具を使わず、これからは「勇気づけ」という、横の関係(対等な関係)を築く手段を選ぶと決めました。今までの失敗も、全部「実験」だと思って次に生かします!!

私がこれから実践したい「勇気」を育むため子どもとの関わり

怒りという道具を使わず、子ども達の勇気をくじかず、自分の想いを伝えられる母親を目指します。

  1. Iメッセージで本音を伝える:「楽しそうなのは嬉しいよ。でも、ママは弟の背中が折れてしまうんじゃないかと、本当に心配になったよ。
  2. 目的を尊重し、解決への協力を求める:「楽しい遊びを止めたいわけじゃないんだ。お兄ちゃんのダイナミックな力を使って、もっと安全に、もっと楽しめる遊びを、ママと一緒に考えてみてくれないかな?」
  3. 間違ったら、すぐに修正する:「さっきは怒鳴ってごめんね。心配を怒りという道具で伝えてしまった。次は必ず、あなたの気持ちを尊重した言い方をするね。」

「怒り」を手放せなかった自分を責めるのは今日で終わりにします。

この気づきを、「次の勇気」に変え、子どもたちとより深い信頼関係を築いていくための出発点にしたいと思います。

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