「自分には、リモートワークが向いていないのかもしれない」
フルリモートの職場で、そんなふうに自信が揺らぐ経験をされたことはありませんか?
私も以前、チャットでのチーム業務で、どうにもすっきりしないモヤモヤを抱えていました。
- 正しい指摘やフォローをしても、自分の発言が他の人のコメントに埋もれてしまう。
- 規範を守るために勇気を出して指摘をしても、相手の表情や温度感が分からず、「おせっかいだったかな」「嫌われたのでは…」と不安が残る。
対面なら「ちょっとした会話」や「アイコンタクト」で解消できたはずの不安が、テキストの“見えない壁”によって増幅されてしまう。真面目で責任感の強い人ほど、この壁にぶつかり、自分の価値を疑ってしまいがちです。
モヤモヤの正体:あなたを縛る「貢献の埋没」と「承認の不安」
リモートワーク特有のこの「すっきりしなさ」は、アドラー心理学の視点から見ると、二つの心の動きに集約されます。
1. 貢献の埋没と「承認欲求」
対面であれば、あなたがチームをフォローした瞬間、周囲は「〇〇さんが助けてくれた」と認識し、その場で感謝や言及があるかもしれません。しかしリモートでは、その貢献が「ただの履歴」となり、他のメッセージに埋もれてしまいます。
真面目に貢献しようとする人ほど、「チームに影響を与えられていないな…」「自分は必要とされていないのでは…」という不安に襲われます。これは、「他者からの承認を得ることで自分の価値を確立したい」という、承認欲求が満たされないために生じる苦しみかもしれません。
2. 関係性の不安と「課題の分離」
チームの規範を守るための正しい指摘であっても、相手がテキストで「すみません」と返したとき、その裏にある感情は全く分かりません。私たちは非言語の情報がないため、不安が膨らみ、「関係を壊したかもしれない…」と悩み始めます。
これは、相手の感情という「相手の課題」にまで踏み込み、その結果をコントロールしようとしている状態とも捉えられそうです。
アドラー心理学が示す、不安を手放すための視点
では、このリモートの「見えない壁」を、私たちはどう乗り越えれば良いのでしょうか。
鍵となるのは、自分の意識を「他者からの承認」ではなく、「共同体への貢献」に移すことです。
ヒント1:「承認」ではなく「貢献」に集中する
アドラー心理学では、人間の悩みはすべて対人関係から生じると考えます。そして、その悩みを解消する唯一の方法は、「共同体感覚」を持つこと、つまり「他者に貢献できている」と実感することです。
あなたの行動が誰かの役に立ったという事実は、他者から評価されなくても、消えることはありません。
- 「自分の発言が埋もれた」と悩むとき、意識を切り替えてください。あなたの投稿が、チームにとって正しい方向を示す一助となった事実に集中するのです。
- 重要なのは、評価や感謝という「リターン」ではなく、あなたがチームに良い影響を与えようとしたという貢献そのものなんです。
ヒント2:相手の反応を「相手の課題」として手放す
相手に意見を伝えた後、「相手がどう受け止めるか」「関係性がどうなるか」は、相手の課題です。
あなたがチームの規範を守るために正しいことを伝えた。ここまではあなたの課題です。その後の相手の反応にまで責任を負おうとし、「嫌われたかもしれない」と悩む必要はありません。
相手の感情の責任を負うことをやめることで、あなたは「正しい貢献をした」という満足感だけを胸に残すことができるようになります。自分の貢献に、もっともっと目を向けてくださいね!
小さな工夫で、不安は自信に変わる
「私はリモートワークに向いていない」と自信をなくす必要は一切ありません。
あなたの持つ真面目さや責任感は、リモートという環境でこそ、チームにとって重要な貢献になり得ます。
大切なのは、その貢献と人間関係の調和を守る思いを、テキストでも伝わりやすい形に「工夫」することです。
例えば、
- 発言に「期待」を込めた問いかけを加える: 単なる指摘でなく、「これ、Aさんが修正対応で合っていますか?」と、相手の行動を促す形で貢献を「見える化」する。
- 人間関係を守る「配慮の言葉」を挟む: 指摘直後ではなく、少し落ち着いたタイミングで「先ほどは突然の指摘になりすみません。気分を害していたらごめんなさい」と、あなたの関係性を大切にする姿勢を文字で明確に伝える。
あなたの貢献の価値を見つける
リモートワークで感じるモヤモヤは、あなたの能力の問題ではなく、「どう貢献し、どう承認を求めないか」という心の課題です。
アドラー心理学ベースのカウンセリングでは、あなたの貢献の真の価値を見つけ、他者の承認に依存しない健全な自信を育むお手伝いをします。
「誰にも理解されなくても、私はちゃんと貢献できている」
そう思えるようになったとき、あなたはリモートワークの「見えない壁」から解放され、安心して自分の力を発揮できるようになるでしょう。
「真面目すぎる」自分を責めるのをやめ、心の重荷を一緒に手放しませんか?


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